認知症を正しく知るためには、まず脳の構造を理解する必要があります。脳の中で活躍するニューロン、シナプス、そして記憶の仕組みを見てみましょう。
▲ニューロンの構造
ニューロンとは脳を構成する神経細胞を指します。脳は大変複雑な構造ですが、基本的にこのニューロンが軸になっています。これが多数(人間の脳の場合、100億から1000億個程度といわれている)集まって様々な神経回路を作っているのです。
ニューロンは、隣のニューロンにシナプスという物質を通して電気信号を与えて情報伝達をすることでつながっていきます。私たちが考えたり記憶したりする脳の働きは、ニューロン同士がお互いに連絡を取りあって情報の伝達を行うことで成立しているのです。
大脳生理学の分野におけるこれまでの研究で、この神経回路は驚くほどの正確さで配線されているということがわかっています。
▲シナプスの構造
一方、シナプスは、その情報の受け渡し場所を指します。シナプスには突起部分と受け皿部分があり、ニューロンはこのシナプスを接合して情報を伝達します。その際、「情報伝達物質」(神経伝達物質)という媒体が必要になります。
ところが、年齢と共にこのシナプスの突起自体も死滅し、「情報伝達物質」も減少していきます。結果、シナプスの接続ができなくなり、思考力や記憶力の衰え、つまり脳の老化となって現れるのです。
シナプスに活力を持たせることが脳の活性化につながります。例えば、本を読んだり、会話に熱中したり、新しいことを学んだり、趣味などでよく脳を働かせれば歳をとってもシナプスの活力を保つことができるといわれています。やはり「生きる楽しみ」や「生きがい」が必要なのでしょうね。
人ができごとを記憶するには、脳のすべての部分とすべての感覚を必要とします。
例えば、あなたが「おばあさん」のことを思い出す時、おばあさんの笑顔や好きな食べ物、声の響き、暖かいぬくもりなど、おばあさんに関するあらゆることを思い出しますよね。この時、脳内では、膨大な数のニューロン(神経細胞)の中から、おばあさんの記憶に関してシナプスで結ばれたニューロンのグループに一斉に刺激が伝達されます。
しかし、このニューロン群が弱ったり減ってしまうと、その記憶は薄れてしまいます。次第に、思い出すことはおろか、記憶していたことすら分からなくなってしまいます。年齢や病気、クスリなどで神経が退化してしまうと精神が混乱するのはこういったことから起こるのです。
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