ヤマブシタケと認知症

ヤマブシタケは認知症を防ぐキノコです。

腸の炎症性疾患抑制作用大腸がんの危険因子抑制に期待!

 

ホクトきのこ総合研究所での研究の結果、ヤマブシタケが、腸の炎症性疾患を予防する可能性を示す研究結果が得られました。腸の炎症は腹痛、下痢などを引き起こし大腸がんのリスクファクターにもなる症状です。その症状を抑制する仕組みをここでは紹介していきます。

腸が炎症を引き起こす原因とその症状は?

腸の炎症の原因は、食品中の成分や病原菌、または自分自身の過剰な免疫反応などが挙げられます。主な症状として、腹痛、下痢、腸炎症状の進展などがあり、日常生活に支障をきたしたり、大腸がん発症の危険性が高まります。

腸が炎症を起こす仕組みとは?

腸での炎症性疾患の発症イメージ
図1:腸での炎症性疾患の発症イメージ
※細菌の細胞壁成分で免疫応答作用を示す物質

腸内では、粘液や腸管細胞が病原菌など異物の侵入を防いでいますが、粘液層が壊れて異物が過剰に作用すると、腸管細胞から炎症促進性タンパク質「インターロイキン8(以下、IL-8)」が血液中に分泌され、免疫細胞を呼び寄せて異物を排除しようとします(図1)。こうした働きを炎症反応といい、体を守る上で大切な働きですが、過剰な刺激を受けると好中球などの免疫細胞が腸管に必要以上に集まり、正常な腸管細胞を傷つけてしまいます(細胞傷害)。

ヤマブシタケが過剰な炎症反応を抑制

ホクトきのこ総合研究所では、過剰な炎症反応を抑制することで、腸の炎症性疾患を予防できるのではないかと考え、ヤマブシタケを使った実験を行いました。実験では、炎症反応を引き起こす物質として細菌の細胞壁成分である「リポポリサッカライド(以下、LPS)」を用いました。

【実験方法】

実験の様子
図2:実験の様子

1) ヤマブシタケのエタノール抽出成分を使用し、ヒト由来の腸管細胞株(HT-29)に抽出成分を加えて30分培養後、LPS刺激を行いました。
2) 培養から24時間後に培養液中のIL-8分泌量を測定し、抽出物を加えずにLPS刺激のみを行った対照区と比較しました。


【実験結果】

ヤマブシタケのエタノール抽出物を予め与えたHT-29細胞では、LPS刺激後のIL-8分泌が抽出物濃度に比例して有意に抑制されました(図3)。この結果から、ヤマブシタケには過剰な炎症刺激による腸管細胞からのIL-8分泌を抑制することで、好中球が必要以上に集まるのを防ぎ、炎症反応による細胞傷害を予防する効果が期待できると考えました。

実験結果グラフ
図3:実験結果グラフ


【今後の動き】

ホクトきのこ総合研究所では今後、動物への投与試験やヒトでの治験を行い、実際に食べた時の有効性を実証していく予定です。

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