認知症の種類

一口に認知症といっても様々な種類があります。

認知症の種類「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」

 

認知症は、大きく2つに分けられます。

認知症は、「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」の2つに分けられます。
アルツハイマー型認知症は、脳細胞の性状や性質が変わってしまうために起こるといわれていますが、本当の原因についてはいまだによく分かっておらず、そのメカニズムについての研究が行われています。脳血管性認知症は脳梗塞や脳卒中、脳出血など、脳や脳の血管にまつわる病気が原因で引き起こされます。

「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」

もともと日本では脳血管性認知症のほうが多かったのですが、最近はアルツハイマー型認知症が半数以上を占めるようになりました。
認知症患者は現在160万人いるといわれていますが、実際にはもっと多くの患者がいると考えられています。
厚生労働省は、10年、20年後には患者数は250万人を突破、10人にひとりが認知症になるだろうと予測しています。

 アルツハイマー型認知症脳血管性認知症
好発年齢70歳前後初老期 50歳代より
頻度25%~30%50%
性差1:3で女性に多い男性に多い
原因脳細胞の変性(性状、性質が変わる)
未だ本当の原因は不明
脳の血管の異常
脳梗塞(脳の血管がつまる)
脳出血(脳の血管が破れて出血する)
脳卒中・・・など
発症・経過緩やかに、徐々に発症し進行
症状は固定傾向
急性の発症で階段状に悪化進行
症状は動揺性
症状全般性の認知症で高度
初期に記銘・記憶障害が目立つ
外界に対する注意力が低下
多幸・抑うつ・妄想・急性錯乱
独語、無意味な多動などが認められる
まだら認知症で、度合いは軽度
初期に頭痛・めまい・しびれ
外界に対する注意力は保たれる
感情失禁・せん妄が認められる
人格障害初期に著名に傷害される末期まで保たれる
病識早期に障害される末期まで保たれる
脳神経学的
所見
巣症状は少ない運動・知覚障害・痙攣・片麻痺
言語障害など巣症状が多い
CT脳回萎縮低吸収域
PVL(periventricular lucency)
側脳室拡大

※『老年期痴呆診療マニュアル』(日本医師会)参照

自然な衰えによる「物忘れ」と病的な「認知症(痴呆)」

年齢を重ねるうちに「最近、物忘れが増えてきたな」と思う方は多いのではないでしょうか。
これは脳の神経細胞の減少という逃げることのできない老化現象の影響で、誰にでもある「物忘れ」です。
このような、通常の脳の老化による神経細胞の減少とは違い、より早く脳の神経細胞が消失してしまう病気が認知症です。

認知症は、はじめのうちは老化による物忘れとの区別がつきにくい病気です。
大きな違いの一つとして、認知症の場合は記憶のすべてを忘れてしまうのに対し、老化による物忘れの場合は記憶の一部を忘れるという点があげられます。

 加齢・老化による物忘れ病気による認知症(痴呆)
症状物事をとっさに思い出せない
(名前や日付など)
体験自体を忘れてしまう
最近の出来事の記憶がない
時間・場所意識があり、理解できる時間や自分のいる場所が分らなくなる
幻覚・妄想ない幻覚や妄想をともなう場合もある
人格精神症状・行動障害なし
人格はかわらない
精神症状・行動障害あり
人格崩壊をまねく場合もある
日常生活普通に生活できる
社会生活に支障なし
日常生活を営む事が難しい
社会生活に支障あり

認知症と診断するには記憶障害があるかどうかが必要となります。
簡単な例では、知人の名前がすぐに出てこないのは老化による「物忘れ」であり、知人の顔を見ても誰だか分からない状態になると「認知症(痴呆)」と診断されます。
また、認知症と診断するには症状が一過性のものではなく慢性的で進行性のものであるというとことが重要になります。

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