「前頭側頭葉変性症」とは、主に大脳の前頭葉と側頭葉の委縮が目立つ脳疾患のことです。患者の症状によって「前頭側頭型認知症」、「進行性非流暢性失語症」と「意味性認知症」の3タイプに分類することができます。ピック病も大きく分ければ前頭側頭葉変性症に含まれます。物忘れは顕著に現れませんが、人格が変わったかのような行動が目立つようになります。
大きな特徴としては、「常同行動」と呼ばれる同じ行動の繰り返しや、気持ちのおもむくままの行動が目立つという点が挙げられます。 常同行動とは、決まった時間になるとどんなことがあっても毎日同じ行動を取ることをいいます。散歩であれば、毎日、同じ時間に同じコースを歩きます。それらを妨げられると暴力を振るうケースも少なくないようです。 気持ちがおもむくままの行動とは、お店に並んでいる食べ物などを、買う前にその場で食べてしまうような行為です。罪悪感や悪気はみられません。
この病気は他の認知症に比べ症例数が少ないせいか、病気を発症するメカニズムや原因がよく解っていません。そのため、ある特定の異常物質(ピック球やTDP-43と呼ばれるタンパク)が脳の神経細胞内に蓄積するといった特徴については確認されていますが、病気の解明という点についてはいまだ不十分と言えます。
▲脳の構造
前頭葉とは、大脳の前方に位置する脳で、脳全体の約4割を占めています。人間は、前頭葉の働きがあるおかげで感情を抑制し理性的に行動することができます。主に意思や思考、感情をコントロールするとともに、人間が行動を起こすという行為と深くかかわっています。
一方、側頭葉とは、大脳の両側面に位置する脳で、聴覚や味覚をはじめ、記憶や判断力、感情等をコントロールする重要な働きを担っています。そのため、この側頭葉に異常(障害)が起こると、記憶障害などを引き起こします。
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