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チンパンジーはアルツハイマー病にかからないといわれています。
これはチンパンジーの遺伝子にはアルツハイマー症と戦う酵素をつくり出す働きがあるからです。
一方、ヒトの遺伝子は進化の過程でこの働きを失ってしまったのだそうです。
マサテューセッツ綜合病院の研究グループは、アルツハイマー症の原因の半分を占めると考えられていた遺伝子『apoE-4』が、実際には患者全体の1割にしか関与していないことを突き止めました。
同病院のR・タンジ博士らがハーバード大学と共同で行った研究によると、70歳以前にアルツハイマー症になった310家族、679人の患者の遺伝子を調べたところ、『apoE-4』遺伝子に原因があると見られる患者は全体のわずか10%に過ぎなかったのだそうです。
英ケンブリッジ大のロビンズ教授とサハキアン博士は、アルツハイマー病を早期発見できる新検査法を開発しました。
コンピューターで患者に複数の異なる画像を連続して見せた後、特定の画像について画面のどの場所に出てきたかを指摘してもらうという内容で、わずか10分間の検査時間で、98%の確率で診断できるのだそうです。
この検査は場所や出来事などの記憶に関係した脳の領域の働きを調べるもの。
アルツハイマー病の患者はこの領域に最初に問題を生じるため、簡単な検査でも高い精度で診断できると同博士らは話しています。
2003年6月16日、国立療養所中部病院長寿医療研究センター(愛知県大府市)の原英夫研究員らのグループが副作用の少ない認知症ワクチン(飲むタイプ)を開発したと発表しています。
マウスを使った実験では副作用が無く、半年に1回の投与で効果が持続すると言われています。
しかし、商品化については未定のようです。今後の新薬商品化に大きな期待が寄せられます。
アメリカのケンタッキー大学Sanders-Brown 加齢センターThe Nun Study代表であるDavid A. Snowdon 博士らは、教育と頭部の大きさとアルツハイマー病の関係について調べました。
294人の修道女について、毎年認知症の有無について調べました。
このうち60人が死亡し、その脳の剖検を行いました。
その結果、教育歴が低く頭が小さい人は、そうでない人に比べ4倍認知症になりやすいことを認めました。
そして、教育歴が高く頭が大きい人ほど高齢期に認知症になる危険が低いと結論づけています。
同調査結果は、アメリカの雑誌「Journal of Clinical and Experimental Neuropsychology」(2003年8月号)に報告されています。
スウェーデン・カロリンスカ研究所の加齢研究センターのMiia Kivipelto医師らは、20年間の地域住民を対象として追跡調査から認知症になる可能性の危険度指標を考案しました。
フィンランドで行われている地域住民を対象とした「心臓血管危険因子と加齢と認知症(Cardiovascular Risk Factors, Aging, and Dementia;CAIDE)調査 」に加わった中年の1409人について20年後に認知症の有無について調べたところ、61人(4.3%)に認知症を認めました。
そして、調査開始時の年齢、教育期間、高血圧、高コレステロール血症、肥満と認知症の発症の関係から認知症になる危険度を推測することができことを認めました。
それによると、47歳以上、10年未満の教育期間、最高血圧が140mmHg以上、総コレステロールが250mg/dl以上、肥満度(BMI)が30以上のどれかの状態があると認知症の発症の危険度が高まり、さらにこれらの状態が多いほど発症の危険度はさらに増すとのことです。
これは、スウェーデンの医学雑誌「Lancet Neurology」電子版2006年8月3日号に発表されています。
※論文全文:Risk score for the prediction of dementia risk in 20 years among middle aged people: a longitudinal, population-based study
※関連情報:Medscapeの解説記事(翻訳)
ドイツ:ミュンスター大学付属病院の研究者らは、脳や体への刺激がアルツハイマー病の進行を抑える仕組みを解明しました。
これにはマウスを使った実験が行われ、
の2種類が用いられました。1.のオリに入れられたマウスはトンネルなどで遊ぶことで、脳や体に刺激を受ける事になります。
5ヵ月後にそれぞれのオリのマウスの脳を調べたところ、刺激のあるオリのマウスの方がアルツハイマー病の原因とされるβ-アミロイドと呼ばれるタンパク質の出現が少なく、炎症を抑制する遺伝子や、不要なタンパク質を分解する遺伝子の働きは強くなっていたことが分かりました。
スウェーデンのイエテポリ大学のSahlgrenska AcademyのXinxin Guo医師らは中年女性で肺機能が良いとアルツハイマー病になりにくいという研究論文を発表しました。
これは同研究所が1968年から地域住民を対象に行ってきたSurvey of Women in Goteborgの調査に基づくものです。
調査は1291人の中年の女性について1974年から2003年まで追跡し、この間ピーク呼気フロー、肺活量、強制呼気量で肺機能を調べました。
この追跡期間中にこのグループから96人の人がアルツハイマー病になりました。
肺機能とアルツハイマー病発病の関係を分析したところ、どの肺機能でも20%程度良いとアルツハイマー病になる危険性はおおよそ4分の1少なくなることが分かりました。
これにより、肺機能が良い人はアルツハイマー病になりにくいことを認めました。
Xinxin Guo医師は、「肺の働きが悪いと脳への酸素の供給が悪く認知症の危険度を高めるのではないか」と述べています。
これは、アメリカの雑誌「Neurobiology of Aging」2006年3月2日号に発表されています。
2001年、甲南大学の杉本直己教授は、アルツハイマー病の際に脳内に沈着するタンパク質(βアミロイド)の生成を、銅イオンを投与することで抑制する実験に成功しました。
治療法として人間の体に銅を投入するのは難しいですが、この原理を応用した医薬品を作るのに役立つとみられています。
アルツハイマー病は正常な状態ならすぐに分解されるβアミロイドが、脳に沈着して固まり、神経細胞を侵すと考えられています。杉本教授はこのアミロイドに銅イオンを混入すると、銅とタンパク質の一部が結合し、アミロイドの増加を阻むことを確認しました。
実験はアミロイドに反応する蛍光体、チオフラビンTの発光強度を調べる方法で実施されました。
無添加のアミロイドでは約3時間で発光強度がゼロから13まで上がりましたが、銅イオンを加えたものは12時間を過ぎても強度がゼロから2の間にとどまりました。
βアミロイドの沈着が進み、発光強度が二桁に高まった後でも、銅イオンを投入すると発光強度が大幅に下がるという結果も得られました。
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