認知症の種類

一口に認知症といっても様々な種類があります。

アルツハイマー型認知症アミロイド班(老人斑)について

 

「アミロイド班(老人斑)」はむしろ「結果」?!

神経細胞が減って記憶障害などが起こるアルツハイマー病は、脳の大脳皮質などに染み出るようにできるアミロイド班(老人斑)が原因とする説があります。しかし、国立精神・神経センター神経研究所のグループは、マウスの実験で、アミロイド班はアルツハイマー病の「原因」ではなく、むしろ「結果」であることを示す実験結果を得ています。

アミロイド班(老人斑)は神経細胞が死んだ結果?!

アミロイド班は、βアミロイドと呼ばれるタンパク質が、大脳皮質などの神経細胞の周囲に沈着してできます。アミロイド班が、認知症ではない人の脳からも多く見つかることや、この病気で一番障害を受ける海馬にアミロイド班が少ないことなどから、これまでもアミロイド班がアルツハイマー病の原因とする説が疑問視されてきました。

国立精神・神経医療研究センターの崔得華 研究員、田平武 疾病研究第6部長らは中外製薬と協力して、その変異が家族性アルツハイマー病の引き金となることで知られるプレセニリン1という遺伝子をマウスに持たせ、遺伝子が変異したマウスと、変異していないマウスを2年にわたって比べるという研究調査を行いました。

その結果、変異した遺伝子を持つマウスの大脳皮質や海馬の神経細胞が大きく減っていることが分かりました。しかも、このマウスにはアミロイド班はできませんでしたが、アミロイド班の主成分であるβタンパクは神経細胞の中に沈着していました。また、沈着を起こしている神経細胞の数も、遺伝子に変異がないマウスに比べて多かったのです。

このことから、同研究グループはプレセニリン1の変異はβタンパクを増加させるが、老人斑として沈着する前に神経細胞の中に沈着して、アルツハイマー病を起こしているとみています。

研究員の田平氏は「アミロイド班は、神経細胞が死んだ結果として出ているのではないか。今後は、βタンパクがどのように神経細胞内に沈着するかを明らかにすることで、アルツハイマー病の発症過程が分かってくる」と話しています。

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