ドーパミンは神経伝達物質で、アドレナリン・ノルアドレナリンの前駆体です。
簡単に言うとすると、「快感や多幸感を得る」、「意欲を作ったり感じたりする」、「運動調節に関連する」といった機能を担う脳内ホルモンのひとつです。
パーキンソン病はドーパミンの不足によって起こりやすくなります。
脳の中にはおよそ1兆個の神経細胞がありますが、そのなかにはドーパミンにしか反応しない神経も存在します。
この神経は快感を伝達する神経といわれいて、「ドーパミン作動性神経」と呼ばれています。
ドーパミン作動神経は主に快感を得たときに活躍する神経なのですから、逆を言えば、ドーパミンを分泌させること=快感を得ることでもあるのです。
ドーパミンは交感神経節後線維や副腎髄質に含まれるノルエピネフリンやエピネフリン(ホルモンの一種)という物質とともに生体内アミンの一種であるカテコラミンという物質のひとつです。
私たちの食べ物の中に含まれるフェニルアラニンやチロシンというアミノ酸がチロシン水酸化酵素によってドーパになり、それがドーパ脱炭酸酵素の働きでドーパミンになることがわかっています。
このドーパミンはさらにドーパミンβ水酸化酵素という酵素でノルアドレナリンになりますし、これはさらにエピネフリンに変わります。
ですから、1950年代まではドーパミンはノルエピネフリンやエピネフリンの単なる前駆物質で、それ自体はとくに生理的な仕事はしていないだろうと一般に考えられていました。
ところが、1959年になって大阪大学の佐野勇教授らがドーパミンは脳にもノルエピネフリンと同じくらいたくさん含まれていて、その脳内分布はノルエピネフリンとは全く違って「大脳基底核」という脳の部位に局在していることを発見され、実はドーパミンは脳で神経伝達物質として独自の仕事をしていているのではないか、多分運動の制御に深く関る物質なのではないかと考えられるようになってきました。
実際、1960年エーリンガーとホーニキーヴッツはパーキンソン病の患者さんでは大脳基底核の中の「線条体」という場所のドーパミンの量が非常に少ないことを確認し、1961年にはビルクマイヤーとホーニキーヴッツはドーパミンの前躯体であるL-ドーパを患者に静注して、注射後数分以内に動くことのできなかった患者さんが立ち上がって歩きだしたことを報告しています。
交感神経節後線維や副腎髄質に含まれるノルエピネフリンやエピネフリン(ホルモンの一種)という物質とともに生体内アミンの一種であるカテコラミンという物質のひとつです。生体内でチロシン由来のドーパから合成されるほか、ノルアドレナリンやアドレナリンの前駆物質にもなります。
「趣味に夢中になってしまって、食事をわすれてた!」こういう経験はありませんか?
人間は、快感を得ているときや、精神活動が活発に働いて物事に集中しているときには空腹感を感じません。
たとえば・・・
映画を見てとても感動しているとき
スポーツの試合をしているとき
自分の好きな趣味に夢中になっているとき
好きだよと告白されたとき
片思いをしている相手のことを想像しているとき
など
ドーパミンが多く分泌されれば、食欲が抑制されます。そのため、ダイエットにも非常に有効だといわれています。
人間はドーパミンを分泌させることを目的として生きているようなもので、ドーパミンは“生きる意欲を作るホルモン”ともいわれています。極端に言い換えるならば、人間はドーパミンを分泌させることを目的として生きているのかもしれません。
人間がこのような感覚を持つとき、ドーパミンが多量に分泌されます。
「がんばるぞ!」 | 意欲が出ているとき |
---|---|
「うれしいなぁ!」 | 誉められて気分が爽快のとき |
「やった!」 | 合格して喜んでいるとき |
「素晴らしい!」 | 絵を見て感動しているとき |
精神的ストレスを感じると、ヒトはコルチゾルというホルモンを分泌させます。
これは脳内のあらゆるホルモンの活動性を低下させるといわれています。
当然のことながら、ストレスはドーパミンの分泌を低下させます。
しかし、快感を得ているときにはストレスホルモンであるコルチゾルは分泌されないのです。
快感を得る(感じる)ホルモンの代表格はドーパミンです。
結局、ドーパミンを分泌させておくことができれば、コルチゾルの分泌を防ぐことができるというわけです。
快感や幸福感をつかさどるドーパミンを増やすには、「新しい刺激」「はじめての感動」といったものが大変有効です。
また、マイナス思考よりもプラス思考であるほうが、ドーパミンの分泌量は多いといえます。
「新しい刺激=はじめての経験」は脳を活性化させます。いつもと違うルートを使って会社に行くだけでも、脳は「新鮮さ」という快感を得ます。
しかし、いつも違うルートで通うとなると、時間通りに目的地に付けない不安(マイナス要素)が発生します。
だから、ヒトはたいてい同じ道を通り、予定通りに動こうをします。
もしいつもと違うルートで会社に行くとすれば、時間的にゆとりが必要です。
そのために苦手な早起きをしなくてはなりません。
これが「マイナス要素からプラス要素を見出すこと」です。
そういう労力をかけてこそ、新鮮さという脳へのご褒美を作ることができます。
たとえば、スポーツの試合中に「うつ」の気分でいることは不可能です。
これはドーパミンが出ていることの裏返しです。
つまり、沈んだ気持ちも回復させてしまうほど、ドーパミンには影響力があるということです。
スポーツであればなんでも構いません。
1人でするマラソンでも、2人でするテニスでも、大勢でする野球でも、何でもいいのです。
また、軽い体操などでも快感を覚えることができれば十分です。
カラダを動かしたという満足感や、仲間と楽しく過ごせたという幸福感が脳を刺激し、ドーパミンをより一層分泌することになるのです。
洋服店でも飲食店でも何でもかまいません。
まだ一度も行ったことのないお店をどんどん開拓していきましょう。
もちろん新しいお店にははずれも多いでしょう。
ですが、ここでは当たりはずれを探す作業ではなく、「新しさに触れよう」とする姿勢が重要なのです。
ドーパミンは新しいものと触れ合うときに多量に分泌されるホルモンです。
ですから、新しいことに怖がらず、何事にも前向きに行動してみましょう。
あなたが普段している趣味のコンテストでもいいし、映画試写会の抽選のはがきでも懸賞でもなんでもかまいません。
何かに応募すれば、それがどのような結果になるかドキドキワクワクしますよね。
この感覚がドーパミンを分泌させます。
ワクワクするものを増やせば、ドーパミンもより多く分泌されます。
ですから、応募の数は多ければ多いほどいいでしょう。ある程度の数の応募を繰り返せば、どこかで当たりを引きます。
そのときの喜びはひとしおでしょう。
ただし、当たらなかったときに挫折感を味わう可能性もあるので、あまり過度な期待は禁物です。
外に出る気力があるという時点で、すでにドーパミンが分泌されています。
玄関の外には様々な刺激が溢れています。
まずは「外出しよう」という気持ちが大切です。
自分から友だちを誘って外出する精神と、誘われたら断らない精神を持つこともポイントです。
友だちを誘ってのショッピングや、誘われた場合にそれにつきあうことは1人でいるよりも気分が上向きになります。
自分が変身することはかなり勇気が必要です。
思いきってスタイルを変えたときには「人にどのように言われるのだろうか?」見られるのか? そのときなんて言おうか?などと考えるものです。
このワクワク感がドーパミンを分泌させるのです。
ダイエットして美しくスリムに変わろうとするくらいですから、このくらいの変身意欲が欲しいものです。
などなど、挙げればきりがないですが、快感やときめきを自分に与えるためにはかなりの努力が必要であることがわかります。
ドーパミンを産生する神経細胞(ドーパミンニューロン)は脳の中でいくつかのグループを作っていることがわかっています。
その中でも今回の公開講座と関係して重要なのがA9という番号がついている「黒質緻密部(こくしつちみつぶ)」という部位にあるドーパミンニューロンとA10の「腹側被蓋野(ふくそくひがいや)」にあるドーパミンニューロンです。
両方とも脳の深部にある脳幹という所に隣り合って存在し、長い突起(軸策と言います)を線条体に伸ばしています。
正確には線条体の背側にA9から、腹側の線条体(これを別名側坐核(そくざかく)とも言う)にはA10からドーパミンニューロンの軸策が伸びています。
軸策の末端にはシナプスという構造があって、そこからドーパミンを放出するので、線条体でドーパミンが多くなるというわけです。
パーキンソン病の患者さんでは、黒質緻密部にあるドーパミンニューロンが死ぬために線条体で放出されるドーパミンが少なくなって無動、固縮、振戦といったパーキンソン病特有の運動症状を生じるわけです。
脳はニューロン(神経細胞)とそれを養うグリアから構成されています。
ニューロン同士は互いに神経突起(軸策と樹状突起)を出し合って、信号をやり取りしています。
その信号のやり取りはニューロンとニューロンの間にあるシナプスという接合部で行われます。電気信号がシナプスに伝わると、シナプスでは化学物質が放出されて、信号を次のニューロンに伝えるわけです。
ドーパミンはそういう化学物質のひとつです。放出されたドーパミンは受け手のニューロンの膜にある受容体(この場合はドーパミンがくっつくのでドーパミン受容体といいます)というたんぱく質にくっつきます。
ドーパミン受容体には現在5種類あることがわかっていますが、ドーパミンがこれに結合するとニューロンに電位変化が起こったり、細胞内の情報伝達系が動いてさまざまな変化を受け手のニューロンに引き起こします。
役目を終えたドーパミンはまた神経末端のシナプスにあるドーパミントランスポーターというたんぱく質によって取り込まれて再利用される仕組みになっています。
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